函館家庭裁判所 昭和32年(家イ)67号 審判 1957年4月16日
申立人 山内カズ(仮名)
相手方 山内栄次(仮名)
参加人 石垣高成(仮名)
主文
相手方山内栄次が北海道龜田郡○○村○○中学校の教職を退いたことにより支給せられる退職金の授受に関して、
参加人北海道教育委員会教育長石垣高成は相手方山内栄次に対し本件調停が終結するまで前記退職金の支払をなしてはならない。
相手方山内栄次は本件調停が終結するまで参加人北海道教育委員会教育長石垣高成より前記退職金を受領してはならない。
(家事審判官 永淵芳夫)
参照 (申立の趣旨)
一、申立人と相手方とは離婚すること。
二、双方間に出生した長女光子(昭和十四年二月○○日生)二女君(昭和十六年十二月○○日生)三女菊(昭和十九年八月○日生)長男照彦(昭和二十二年七月○○日生)の親権者は申立人と定めること。
三、相手方は申立人に対し子供の教育費として金三十万円、申立人に対する慰藉料、財産分与として金三十万円を支払うこと。
の調停を求めます。
(申立の原因実情)
一、申立人は昭和十四年二月○○日相手方と正式に婚姻し、その間に申立の趣旨記載のとおり一男三女を儲け相手方は○○中学校の教員を勤めておりました。
二、然るにその後相手方は他に女をもつて昨年四月以来はその女と同棲し其所から通勤していた始末で、その事が学校の知るところとなつた結果、最近に至り希望退職という事で退職することになつております。
三、斯る状況に在りながら相手方は家庭に帰る意思は無いので止むなく離婚を決意しこの申立に及んだ次第であります。
子供等は母の許を離れないというので、親権者は母と定めることに申立ました。
又教育費の請求は相手方には資産とて無く退職金の手取りが約九十万円あるそうですのでその中より教育費として金三十万円、申立人に対する慰藉料、生活費等に金三十万円の支払を受け生活の再建に努め度いと思うのであります。
(調停前に措置に関する命令を発するに至つた事由)
調停の経過に鑑み、相手方には現在資産、収入というものが殆どなく仮処分の主文掲記の参加人に対して有する金銭債権が唯一のものであることが明らかとなつたので、本件調停の成立を期し、その実効を収めるためには相手方及び参加人に対して調停の終結まで一時該金銭債務の履行を禁止する必要があるものと認めたものである。